この時期のライブウェル管理

  • 2015.07.30 Thursday
  • 19:49
こんばんは。

今日は暑過ぎです。
もう少しで40℃。
今週末のチャプター奥伊勢湖宮川も天気予報は晴れで、相当暑くなることが予想されます。
出場選手の皆さんは、かなり多めの飲み物をご用意ください。

さてこの時期、我々トーナメントコンペティターを悩ませるのは、やはり”釣ったバスをどう生かすか”ということでしょう。
各フィールドで最高水温期になるこの季節、せっかく釣ったバスがライブウェルで死亡などという事故は残念ながらどこでも聞かれます。
水温もほぼ30℃に達し、ライブウェルの中は灼熱になります。
 単純に外から吸水した水の温度がライブウェルの中の水温になるかというとそうでも無く、ライブウェルの蓋などが直射日光で熱せられてその伝導によってライブウェル内の水温はますます上がります。外部循環すれば良いかもしれませんが、電力を使い続けることになってしまいます。
 因みに、水に溶ける酸素の限界量である”飽和溶存酸素量”ですが、水温30℃の場合は10℃の時に比べておよそ70%まで下がります。
これは、運動量が多く酸素消費量の多いバスにとってはかなり致命的な問題となります。
鰓(エラ)の損傷以外の理由でのライブウェル内での死因の一番はやはり酸欠(酸素不足)です。

 では、そうすればよいのでしょうか?
まずはやはり、水温を下げること。
 水温を下げることによって、まずは水の飽和溶存酸素量(水の中に蓄えられる酸素の限界量)を増やしてやります。
具体的な方法としては、「氷」を入れること。ただし、市販の氷は低酸素の物が多く、直接ライブウェルに入れて氷が溶け出すと「単なる低酸素の水塊」を作ってしまいます。なので、コンビニなどで市販されている板氷などは、パッケージを開けずに入れると良いでしょう。
パッケージに入れたままにすることによって、水温を”じわじわ”と緩やかに下げてくれます。
 氷によって水温を下げるということは、水の飽和溶存酸素量を増やすと同時に、”バスの代謝”も下げることになります。バスの代謝を下げることによって、必要な栄養分や必要な酸素量を減らす事が出来ます。
 水温を下げて飽和溶存酸素量を増やした後には、

このO2パワー(オーツーパワー)を投入することになります。(明邦化学さんのサイトから写真をお借りしました)
「エアーポンプ(ブクブク)でいいじゃないか」という意見もありますが、自宅でのDOセンサー(溶存酸素計)を使った簡易的な実験ではやはり噂通りにエアーポンプでの溶存酸素量は僅かに0.1%増えただけでした。つまり、1/1000しか増えないわけです。
エアーポンプには酸素を増やすという機能はほぼ無く、水を循環させるものと考えた方が良さそうです。
というわけで、この1錠およそ¥500と一見すると高価なこの錠剤がバスを元気に生かしてくれます。
このO2パワーですが、1回での使い切りとなります。一度化学反応を起こすと効果を失いますので、1回につき1錠の使用となります。
この上で、さらにフィッシュプロテクトバッグなどでバスを暴れさせないようにするとかなり効果的でしょう。バスがライブウェル内で暴れることによって余計に酸素消費が進みますから。
桧原湖ではこのフィッシュプロテクトバッグが役に立ちました。

最後、ウェイインバッグにバスを移す時ですが、この時も出来る限りライブウェルの水を使ってください。
いくら変温動物とは言え、15℃ほどまで下がった水から30℃の水にいきなり移されたらそれはショック死の原因となります。
ライブウェルの水を入れてウェイインに向かう間、バッグを地面に置いたりすることにより、今度は緩やかにウェイインバッグの水温が上がります。
最終的にリリースの際には、リリース場所の水温とほぼ同じになっていますので、バスも元気なままでリリースできるというわけです。
ちなみに、私はこのO2パワーをライブウェルからウェイインバッグに魚と一緒に移し替えます。もちろん、本部の許可をもらってやっています。ウェイインバッグはライブウェルに比べると水の容積が小さいです。そこへプロ戦なら5本、チャプターなら3本のバスが詰め込まれますから、余計に酸欠のリスクが高まるためです。
フック飲みチェックの際に、ウェイインバッグの中にこの錠剤が残っているかどうかを確認する手間は必要ですが、ウェイイン待ちでバスの状態が急変することは避けられます。

トーナメントコンペティターは、「バスを釣る技術」はもちろんのこと、「バスを活かして元気に返す」という技術も必要です。
この時期、デッドを出してしまうという不幸を起こさないように、出来るだけバスをVIP扱いしてあげてください。

 
コメント
はじめまして。
とても参考になりました。
それと同時に、この時期のチャプター等のスケジュールを見直すという考えは無いのでしょうか!?
そちらにも疑問が残りました。
  • 田中
  • 2015/07/31 6:53 AM
コメントありがとうございます。
チャプターはあくまでも釣りの技術を向上する場であります。
それ故に、一定の回数も必要とします。
その上で多種多様な意向を鑑みてスケジュールを立てております。
資源確保の観点からも、このエントリのように”バスを生かすという技術”も「釣りの技術」ということです。
ご了承ください。
  • 北山 睦
  • 2015/07/31 9:09 AM
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